協議離婚とはどのようなことですか?またそのメリット、デメリットはなんですか?
協議離婚とは,夫婦二人で話し合って,離婚届を作成し,役所に届けることによって行う離婚です(民法763条)。
最大のメリットと考えられるのはスピードです。いざ調停を起こすとなると,どうしても数か月の時間はかかってしまいますし,裁判にまでなるとなれば,長い時間がかかります。
裁判に先立つ調停には,原則として,本人が行かないといけず,土日には裁判所はやっていないため,仕事を休む必要が生じるというリスクもあります。
また,調停は弁護士を雇うことなく行うことも可能ですが,弁護士を雇っている人も少なくなく,また,相手方が弁護士を雇ってきた場合は,こちらも雇わないと不利になるのではないかとの不安感を感じたりすることもあります。
柔軟性もメリットの一つです。たとえば,裁判で離婚しようと思えば,離婚原因が必要になります。
離婚原因は,以下の5つに限定されています(民法770条1項)。
①配偶者に不貞な行為があったとき
②配偶者から悪意で遺棄されたとき
③配偶者の生死が3年以上明らかでないとき
④配偶者が強度の精神病にかかり回復の見込みがないとき
⑤その他婚姻を継続しがたい重大な事由があるとき
これらの離婚原因にあたるか否かについては裁判例の蓄積などがありますが,それほど簡単に認めてもらえるものではありません。
離婚原因の有無と無関係に離婚できる点が協議離婚の柔軟性の一つだといえます。
デメリットとしては,話し合いがまとまらなければなすことができないことや,離婚するにあたっては,子どもの問題や財産の問題が複雑に絡み合うものであることから,しっかり離婚の条件を決めないと後々トラブルになるリスクがあることが考えられます。
なお,協議離婚が無効となるのは次の場合です。
まず,夫婦双方ともに離婚意思がないのに,離婚届が提出された場合。
次に,夫婦の一方に離婚意思がないのに,他方が離婚届を提出した場合。
最後に,一旦は夫婦双方が離婚に合意したが,一方が離婚意思を翻し,離婚届の提出時に離婚意思を失っていたか,もしくは一方が離婚届の提出時に意識不明になるか死亡していた場合です。