不動産
契約書に条項がありますので、鍵を取り替えたりすることは可能でしょうか?
「賃借人が賃料の支払いを怠ったときは,賃貸人は,賃貸物件の施錠をすることができる。また,賃貸物件内にある動産を賃貸人が処分しても,賃借人は何ら異議を申し出ないことを確約する」
と条項があったとしても鍵を取り替えたりすることは,たとえ契約書に自力救済条項があったとしても避けるべきです。
裁判例(札幌地裁平成11・12・24)では,自力救済条項は,「賃貸人側が自己の権利(賃料債権)を実現するため、法的手続によらずに、通常の権利行使の範囲を超えて、賃借人の平穏に生活する権利を侵害することを内容とするものということができるところ、このような手段による権利の実現は、近代国家にあっては、法的手続によったのでは権利の実現が不可能又は著しく困難であると認められる緊急やむを得ない特別の事情が存する場合を除くほか、原則として許されないものというほかなく、本件特約は、そのような特別の事情がない場合に適用される限りにおいて、公序良俗に反し、無効であるといわざるを得ない。」とした上で,全く連絡できない状態にあったというわけではないことから,特段の事情もないとしています。
したがって,自力救済条項は裁判になれば,無効となるおそれがつよく,そうなれば,鍵の取り替えなどは不法行為であると判断され,損害賠償請求が認められるおそれがあります。