労働問題
タイムカードに打刻されている時間からすると,未払残業代が発生しています。裁判などをすれば当然勝てますでしょうか?
当然,未払残業代の支払請求が認められるとは限りません。
種々の可能性がありますが,ある事案(東京地判昭63・5・27)ではタイムカードによる時間外労働時間の算定については,タイムカードの打刻は出退勤を確認することにあるので,使用者がタイムカードで従業員の労働時間を管理していた等の特別の事情がなければ,同カードの打刻時間だけでは管理者の指揮命令下にある時間を把握することはできないとしたものがあります。
また,他の事案(東京地判平24・12・27)では,タイムカードに記録された時刻を基準に出勤の有無及び実労働時間を推定することが相当であるが,当該推定は事実上のものであるから,他より客観的かつ合理的な証拠が存在する場合には,当該証拠により出金の有無及び実労働時間を認定することが相当であると判断されています。
これらのことから,使用者がタイムカードで従業員の労働時間を管理していたなどの特別の事情が認められなかったり,タイムカードに打刻された時間に働いていない証拠が出てきたりした場合には,タイムカードに打刻された時間どおりの未払賃金の支払請求が認められないこととなります。