離婚問題
自分が家を出て行ったことや自分が不貞行為をなしたことで婚姻費用が減少することはあるでしょうか?
裁判例における判断が分かれているところです。
裁判例からすれば,別居に至った事情や原因により扶養料の程度を決定すべきであるとするもの(東京高決昭40年7月16日等)がある一方で,婚姻破綻についてどちらの配偶者に責任があるかという有責性については,婚姻費用分担義務は本来婚姻継続の為の夫婦の協力扶助義務と共通の基盤に立つものであることを理由に,婚姻費用の額の決定にあたっては考慮しないとしたものもあります(東京家審昭47年9月14日)。
もっとも,多くの裁判例においては,不貞行為がある場合は,婚姻費用を減少させるか,それとも婚姻費用の請求を制限していますが,それ以外については,標準的算定方法に従い,婚姻費用分担額を定めています。
これは,婚姻費用が,当座の生活費であることから,簡易迅速な審理をする必要があるため,出来るだけ定型的に処理すべきと考えられているからであると思われます。