遺言・相続
結婚した際に,持参金を渡されました。このことは相続に影響しますか?
一般に,支度金や持参金は,特別受益にあたるとされますので,相続に影響する可能性は十分にあります。
もっとも,遺産総額に比して,金額が小さい場合には,特別な支弁ではなく,親の自然な愛情の表れとして,特別受益と認められないことがあります。
また,多額の贈与であっても,他の相続人がほぼ同額の支弁を受けている場合も,特別受益とは認められません(名古屋高金沢支決平3・11・22)。
他の相続人のもらっている金額と比べる際には,支度金同士で比べなくてもよく,たとえば,支度金と学費を比べることも実務上,なされています(大阪家審昭50・3・26)。
また,兄弟がともに支度金を受け取ってはいるものの,額が異なる場合には,それは時代背景や被相続人の年齢が異なるからであって,共同相続人の間に格別の不満がなく,審判までの手続き中,特別受益として遺産の額に加算すべきであるとの主張も希望も全くなかったような場合には,ほぼ同額手度の支弁を受けたものと判断している例もあります(大阪家審昭35・8・31)。