遺言・相続

会社を後継者に継がせたいのですが,どうすればいいですか?

いくつかの方法があります。

たとえば,会社が株式会社であれば,株式を遺言で後継者に取得させる方法があります。
この際,遺言書の文言によっては,株式譲渡について会社の承認を要する(会社法107条1項1号)こととなったり,会社から後見人に対し,株式を売り渡すよう請求されるおそれが生じる(会社法174条)などしてしまいますので,気をつける必要があります。

また,相続人が後継者の他にもいる場合の遺言書の作成には,遺留分対策をする必要もあります。遺留分を行使されますと,後継者の持ち株割合が減ったり,事業用の資産が分散したりするなどして,後継者による会社の経営が阻害されるおそれがあります。たとえば,遺留分の放棄(民法1043条)をしてもらったり,重要な財産については早めに贈与をしたりすることが対策として考えられます。他にも,中小企業経営円滑化法の適用がある会社であれば,民法所定のルールは変更され,推定相続人全員の合意によって,先代経営者が後継者に贈与等した株式や持分を遺留分算定の基礎財産から除外すること等ができます(中小企業経営円滑法4条1項1号。除外合意)
(ただし,事業用であっても,不動産や預貯金等は除外できません。)。

遺言による方法の他には,信託を利用することも考えられます。信託を利用すれば,経営者が生存中に引き続き経営権を維持しつつ,後継者が確実に経営権を取得でき,また,経営者の相続開始と同時に経営権が移転しますので,経営上の空白期間が生じない等のメリットがあります。

 

このように複数の手法がありますので,要望や,会社の状況等に併せて方法を一緒に考えていきたいと思います。

 

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